わかりやすさってやっぱり大事【18th DOMANI・明日展】
「未来を担う美術家たち 18th DOMANI・明日展」という展覧会に行ってきた。だいぶ前だけど、写真整理してきたら出てきたので記録がてら文章も残しておこうという魂胆。ちょっと長ったらしいのですが、写真もいっぱい撮れたので(撮影OKなんだってさ)紹介がてらいきましょう。
つって作家&作品名メモしてなかったゴメン!
(イントロにふさわしい、幻想的でやさしくきれいな作品。この配置にした学芸員グッジョブだね)
結論から言うとタイトルどおりなんだけど、
まだまだ自分の中でアートに対するニガテ意識や隔たりがあると感じた。
そもそもアート作品は値段が高かったり、テーマが宗教絡みで共感しにくかったり、いろいろコムズカシイこと言われたりで親近感あるとはいいにくい。
作品の良さをムリヤリにでも理解すると、それはそれでアートに関する造詣の深さや「自分わかってます感」を演出しちゃうようで厳しい。まあ、自意識過剰と言われればそれまでだけどさ。
(いちばん大きくてインパクトあった。この質感を作品全体で統一させるのお見事)
あんまり考えてないからピンとこないものも世の中にたくさんあるんだけど、そういう"アートを無条件で賞賛しないとクールじゃない"みたいな先入観がどうしても拭いきれない。
そういう意味で、ニガテ意識はいちいち作品に対して何か感じないといけないというプレッシャーだったり、ストレスだったりていうのが原因。
ほんとはパッと見て「わー、きれい!」で全然いいんだろうけどね。
(鯉だったかな?昇りゆく様子が文字通り突き抜けてて好き)
てことで、この展覧会もそういう目線で見てたから結構疲れた。
特に若手作家ということで作品もギラギラしてたり、個性的だったりで。
もちろん見応えは十分だった。
いろいろ感心させられたものもあったし、エンターテインメントとしての価値も多分にあって満足。
(猫だるま。いろんな個性がって、こう並ぶと圧巻。)
んで、本題。
「自分はコピーライターという職業病なんで」と言えば聞こえがいいけど、
なんかいろいろせっかちになったなという自覚がある。
大切なことをズバっと短く強い言葉で言い切る、てことを理想としているだけに、長い文章とか話とかはモヤモヤしちゃう。
コミュニケーションはともかく、娯楽作品にもその感覚が侵食しつつあるので良くないんだけど「そんで早い話、何がいいたのさ」と言いたくなるものは決して少なくない。
(もさもさの立体感がグロテスクでありながらどことなく幽玄的でオツ)
それを求めるのは無粋でナンセンスだけど、アートはただでさえ難しいよね。
言葉にするのは難しいし、説明するのがダサいみたいな言い分もよくわかる。
(展覧会チケットのデザインに使われていた作品。その名も『a tree man』。人の進化か、あるいは悲劇か。)
で、作品に関しても、その作品や制作過程を通じて何がしたかったのか、ていうのをもっと知りたい。それは学芸員の仕事なのかな。でもやっぱり作家がどんな想いで作品と向き合ったのかは重要だよね。作家ごとのプロフィールとかはあったけど、もっとがっつり知りたいのよ。何かテーマがあるなら鑑賞の視点も変わるし、感情表現がどういう形で作品の造形につながってるのかはとても興味深い。
ぎゃくに「うだうだ言ってないで作品だけで評価させろ」て人の方が多いのかなあ。
(よく見ると細部がとても凝っている。細胞の業というか小宇宙というか)
まー、作品の魅力なんて勝手に想像しろよ、て言われたら終わりだけどね。でもネームバリューやそこそこ表現力のある作家ならまだしも、国がアート活動を支援してる若手ならどうだろう。試行錯誤や作品づくりの原動力となったモチーフをアピールしてくれた方が、ずっと親しみやすくて応援しようという気になれるんじゃないかな。
(原発関係のドキュメンタリー映像。怒りでも悲しみでもなく、淡々と現場の事実を語るのがリアル)
それをせず、「タイトルぺろーん」「作品どーん」「どやさ!」
みたいなスタイルで正直ちょっとつかれちゃった。
(でっかいのに丁寧でインパクト大。こういうパワフルかつテクニカルな作品は気持ち良く圧倒してくれる)
(「なんの棒グラフ?」と思ってから、左の画の高さをシルエットにしたものと気付いて感心。)
えー、要するに
「わからないとおもしろくない。感じられないとダサい。」
ていうので鑑賞者が置いてかれるのは、悲しい。
そういう意味で、自分はまだまだアートの世界の人間じゃないということを自覚した。
でも理屈なしで感じるおもしろさ、の魅力もあるよね。それはわかる。わかる。わかる。
(唯一、高尚なアートというよりエンタメ性のあるネタ作品という感じで鮮烈。もちろん良い意味で。)
「アートの世界を変える!」みたいに息巻くつもりはないけれど、
もっとゆるくアートを楽しめるようになればいいなー。
そんな感じです。
まだまだ観る目が肥えてないからかもしんないので、また機会があれば行ってみよう。
以上、現場からでした!