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はなみずにっき

はなみずぐらいのブログ    コピーライター/脚本家

作家志望の悪魔(未完) 1/2

 

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フリーター時代に書いた作品が出てきたので公開させてください。


一(六月七日)
彼の朝は早い。夜に眠らないからだ。
というより、体内時計が正常に機能していないために
不規則な生活が続いている。

 

彼の言い分はこうだ。
「規則正しい生活の“規則”とは、一体誰が決めたんですかね」

 

時間とは万人に等しく与えられた財産であり、
同時にその使い方も自由なのである。

 

言い換えれば、彼という存在そのものも自由なのだ。
時間の使い方しかり、行動の仕方しかり、彼を縛るものなど無いのである。

 

毎朝、決まった時刻に目を覚まし、決まった時刻に準備をし、決まった時刻に出発し、決まった場所へ移動し、決まった所に出動し、決まった仕事をして、決まった時間に帰り、決まった決まった決まったの連続の毎日であり、その毎日ですら恒久的に決まっているかのような錯覚を覚える生活。

 

彼はそんな「社会人」になりたくなかったのだ。
例え就職を望んだところで叶えられはしなかったであろうが、
就職する気が無かったのである。

 

そして幸か不幸か、社会人の何たるかを知らないくせに「決まった日常」を頭ごなしに嫌った。退屈は死と同義であり、刺激こそが人生を豊かにするはず。そう信じていた。
一定の収入、世間の印象、そして「一般的」という普遍的な魅力を持つステータスを捨ててまで、自由を手に入れたのである。何にも縛られない生活の醍醐味を、充分に満喫していた。

 

あたかも、それが永久に続くかのような幻想の中で。